虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)
虚血性心疾患と言えば、あまりピンとこないかもしれません。
虚血性・心疾患とばらしてみると、
(虚血)という言葉は、<血液が足らない>という意味です。
つまり、虚血性心疾患とは、心臓に行く血液が足らないために起きる心臓の病気となります。
その血液が足らなくなる病気の代表が、狭心症と心筋梗塞になります。
狭心症ですが、一過性に心臓の血液が足らなくなるため組織の酸素不足をきたし、胸が苦しくなる病気です。一方心筋梗塞は、心筋に血液が完全に行かなくなる状態が持続し、心筋が壊死した状態をいいます。

まず狭心症について、お話ししたいと思います。
原因により、
に分類されます。
また、発作の頻度や程度により、
に分類されます。
最初に原因についてお話ししたいと思います。
労作性狭心症とは一過性に心臓の血液が足らなくなるため酸素不足をきたし、胸が苦しくなる病気です。心臓を栄養し、心臓の外側を走行している冠動脈が、動脈硬化などによって狭くなると、心筋(心臓を構成する筋肉)に送られる血液量が不足し、心筋が酸素不足となります。そして、このときの痛みが狭心症の痛みの原因となります。
労作性狭心症は、一例ですが以下のような症状があります。
というような症状がみられます。
狭心症の痛みの特徴(次に述べる冠攣縮性狭心症も同様の症状です)としては、ちくちく痛いというよりも、胸が圧迫される感じや絞扼(こうやく)感などがあり、前胸部のみならず、みぞおち、肩、頸などに放散することもあります。まれなケースでは、歯やのど、胃が痛むこともあります。痛みは多くの場合、数分までのことが多いです。
冠攣縮(れんしゅく)性狭心症とは、心臓の血管(冠動脈)が一過性に痙攣(けいれん)を起こしてしまい、血流が一時的に途絶えるために生じると考えられています。この病気は、日本人もそうですが、東アジアのモンゴロイドに多いとされ、日本のグループが最初に世界へ発表しています。
冠攣縮性狭心症の特徴として、
痛みの性質や部位などは、心臓の冠動脈が細くなることは共通しているため、労作性狭心症と同様です。冠動脈の攣縮(痙攣性の収縮)も、動脈硬化の進行過程(血管の内皮障害)にみられる現象と考えられていますが、喫煙する人やお酒が飲めない人に起こりやすいと、これも日本から報告されています。加えて、突然死の原因の一つともされています。
次に発作の頻度での分類についてお話ししたいと思います。
安定狭心症とは、胸の痛くなる頻度が少なく(週に数回)、持続時間も数分以内で、一定以上の労作や運動強度などで発作が出現するといった、安定している狭心症のことを言います。
不安定狭心症とは、(定義は諸説あります:私の留学先の国立循環器病センターで学んだ定義をわかりやすく変えて書きます)
といった症状がある場合になります。
この不安定狭心症は、後から述べる心筋梗塞に移行することもあり、早急な治療を必要としますので循環器内科のある病院に直ちに紹介することになります。
次に当院での狭心症の検査と治療について述べます。
狭心症で一番大切なのは、先ほど述べた症状を問診することが大切です。
当院では、心電図や胸部レントゲン、エコー検査、24時間心電図検査などで、精査します。
症状があるときには、非常に有効です。ただし症状のない時は、よほど悪くないかぎり、変化はでません。ただし経時的に経過観察していけるため比較対象として必要です。
心拡大がないか、心不全がないかを確認します。
(心拡大は高血圧などでもおこります)
大動脈が拡大している場合には、大動脈解離などの病気を疑います。
心臓が動いているかどうか、心臓の弁が悪くないかどうかを見ます。
大動脈弁狭窄症という病気でも、同様の症状が出るのでその鑑別もできます。
24時間での心電図変化が無いかをみて診断します。(当院ではその設備はありませんが、病院紹介した際には負荷心電図、心筋シンチグラフィ、ドブタミン負荷心電図、冠動脈CT検査などが追加され、精査されることが多いです。)
一般的には、心臓カテーテル治療を選択することが多く、私も病院勤務時代には、たくさんの患者さんの治療を行ってきました。 しかし、最近発表されたISCHEMIA試験という論文では、適切な薬物治療を行えば、カテーテル治療を行った群と同様の予後であるというものでした。そのため最近の世界の流れでは、カテーテル治療よりも適切な薬物療法が中心になっています。 薬物療法のKey drugは2種類と言われています。
ⅰ)抗血小板剤(血液をさらさらにするお薬):®バイアスピリン、®プラビックスなど
ⅱ)スタチン製剤(LDL(悪玉)コレステロールを下げるお薬):®クレストール、®リピトールなど
+症状のある場合にはCa拮抗剤(®ヘルベッサー、®アダラートなど)やβ遮断薬(®メインテートなど)と言われています。
当然不安定狭心症に移行した場合には、心臓カテーテル治療になります。
基本的に生活指導と投薬での治療を行います。
ⅰ)必ず禁煙(副流煙も駄目)
ⅱ)急に寒いところに行かない
ⅲ)治療薬:一般的には予防効果のある Ca拮抗剤(®コニール、®アダラート、®ヘルベッサーなど)
加えて血管拡張剤のニトロ製剤やシグマートを用いることもあります。最近のガイドラインでは・・桂枝茯苓丸は,細動脈を拡張することにより、血流改善をもたらす可能性があるといわれています。
最後に心筋梗塞について、お話ししたいと思います。
一般的な心筋梗塞は、動脈硬化が進行して冠動脈にできていたプラーク(血液中のコレステロールや脂肪からできた粥状の物質;英語では歯垢という意味です)が破綻して冠動脈を詰まらせてしまい、心筋に血液が完全に行かなくなり、心筋が壊死した状態をいいます。以前までは、たくさんプラークがついている血管に起こりやすいのではと言われていましたが、最近ではプラークの質(黄色いプラーク(リピッドコア)で柔らかいものが起こしやすい)によるとわかってきており、そちらの治療が大切と言われています。他には、心臓の血管が痙攣(冠攣縮)したり、不整脈などで左心房や左心室に血栓ができ、それが流れて詰まったりすることで、起こることもあります。
症状としては、先ほどの狭心症同様、突然、胸が焼けるように重苦しくなり、締め付けられ押しつぶされるような圧迫症状が現れその症状が20分以上持続します。また、冷や汗、吐き気嘔吐をきたすこともあります。この発作は長く続き数時間に及ぶこともあります。このような場合は、必ず急いで救急車を呼んでください。1分でも早く病院に行き、適切な処置を受ければ救命率も高くなりますし、後遺症も少ないです。
治療としては、一般的には冠動脈内に詰まった血栓を、血栓溶解薬で溶かす治療法、緊急心臓カテーテル検査治療で、血栓を吸引したり、バルーンが先端についたカテーテル(細い管)を血管内に挿入し詰まった部分を拡げたり、再閉塞を防ぐためにステント(筒状の金網)を血管内に留置したりするインターベンション治療が行われることが多く、しばらく入院治療が必要となります。
以上、狭心症と心筋梗塞について、お話してきました。
以前に比較すると虚血性心疾患は減少してきていますが、それでもたくさんの患者さんがいらっしゃいます。
もし、胸が重苦しいという症状が出現するようなら、当院で一度ご相談ください。
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