ワクチン（予防接種）について

今皆さん、日本で摂取できるワクチンは何種類あるのか、ご存知でしょうか？
数え方で変わりますが、なんと30種類以上もあり、さまざまな病気の予防をしています。
ワクチンは、基本的にかかるかどうかわからない病気を予防するためのものです。そのため、効果が見えにくいものですが、これは、高血圧や高脂血症等の生活習慣病も同じかもしれません。たとえば、高血圧や高脂血症もよほどでない限り症状はないのですが、放置することで脳卒中や心筋梗塞等の心血管疾患を引き起こす可能性が増えます。つまり、大病をしないための先行投資的な要素が強いかと思います。

ただし、これらの病気と異なり、ワクチンには、もう一つの側面もあります。ワクチンはある程度の方が接種することにより、その病気自体の流行を防ぐという役割もあります。このため、ワクチンは、日本のみならず、国が主体となりしていることも多くあります。
そういった流行を防ぐという背景もあり、ワクチンの歴史は、18世紀に天然痘という感染症を予防するために、開発されたことが始まりとされています（日本でも8世紀ころからこの病気が流行した報告もあります。）。天然痘というウイルスは、空気感染することもあり非常に流行し、かつ死亡率が報告によっては2割とも5割ともいわれ、多くの命が失われていました。その一方、いざ天然痘に一度感染し克服してしまうと、もう二度とかからないということも知られていました。そのため、天然痘にかかった際、できた水疱からできた物質を、人工的に元気な方に傷をつくりそこに塗ることで予防するという治療も当時されていたそうです。ただしこの予防法は、死亡率も高かったそうです。その当時、天然痘に似た病気が牛にもあり＜牛痘＞と呼ばれていました。牛痘に罹患した牛は致命的になるのですが、ヒトにかかっても軽い症状のみであったそうです。そして、牛痘にかかった人は、天然痘にかからないという話があり、イギリスのエドワード・ジェンナー先生がそのことに興味をもち研究されました。その結果、牛痘にかかった人に天然痘種痘を行っても何も起こさないことを発見し、牛痘からとった物質（ワクチン）を、ヒトに接種（牛痘種痘法）するように徐々になりました。1796年に接種を始めてから約200年後の1980年には世界から天然痘は根絶に至り、世界初の人工的に根絶したウイルス感染症となりました。そして天然痘のワクチン開発後、さまざまなワクチンが開発され、最近ではCOVID19のワクチンが話題になりました。

さて、当院でも、感染症予防は重要と考えていますので、以下の４種類の取り扱いをしています。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンに、関しましては、当院で一番接種が多く、皆様も接種されることも多いと思われますので、そのお話をしたいと思います。私が子供のころは、インフルエンザは冬にしか流行していなかったのですが、最近では国際化等の影響もあり、1年中（夏にも）みられることもまれでなくなってきました。みなさんご存じの通り、インフルエンザに罹患すると、学生さんは、学校保健法で発症後5日間を経過し、かつ、解熱した後 2日は感染拡大を予防するため登校停止することになっています。じつは、大人（社会人）では決まっていませんので、職場でのルールに基づいて対応することになります。そのため当院では発症した日になるべく速やかに職場へ連絡するようにお伝えしています。
インフルエンザウイルスについてですが、A、B、C、Dの４型があります。実際問題なるのはA型とB型です。どちらも1～3日間ほどの潜伏期間の後に、38℃以上の突然の高熱をきたすことがほとんどで、罹患すると、私もそうでしたが本当にあちこち痛くなったりしてしんどいです。また、厄介な点は、先ほどお話しした天然痘と異なり、120種類以上の亜型があるため、去年かかったから今年がかからないというわけにはいかなくなっています。そのため、ワクチンは、たくさんの亜型のうち、その年に流行しそうな数種類のウイルスに対して用意されていますが、その型と違ったウイルスが流行した場合、感染を引き起こしてしまうケースがあります。加えて、ワクチンを接種したとしても、すぐに効果を示すわけではなく、最低2週間程度はかかるため、大切なイベントがある場合等には、流行前早めの接種をお勧めします。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹のワクチンに関しましての取り組みとして、当院では、初診の方において、お手数ですが接種前に一度来院（お金はかかりません）していただき、生ワクチンと不活化ワクチンのメリットとデメリットの説明をきちんとした上で、どちらかを選んでいただくようにしています。

これらのワクチン接種にご興味がある方は、一度当院にまでご連絡、ご予約（インフルエンザワクチンはWeb予約もできます）よろしくお願いいたします。