気管支ぜんそくとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)|木津川市木津駅の内科・循環器内科|つつみクリニック

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気管支ぜんそくとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

気管支ぜんそくとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)|木津川市木津駅の内科・循環器内科|つつみクリニック

気管支ぜんそくとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について

当院には、<息がはあはあします>とか、<胸がゼーゼーいいます>といった症状で受診される方が多くいます。息が切れる病気の原因は、心臓(循環器の診療案内を一度みていただけましたらと思います)と、今回お話しする肺が原因であることが多いです。特に多いものが気管支ぜんそくとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)です。

まず気管支ぜんそく(以下ぜんそくと書きます)についてお話ししたいと思います。ぜんそくは、皆さん小児の病気というイメージをお持ちかと思いますが、実は大人でもあります。小児の患者さんは減少しているのですが、大人ではむしろ増加しています。そのため、当院でもぜんそく患者さんも多くいらっしゃるのでお話をしていきたいと思います。まずぜんそくとはどういった病気なのかですが、一言でいうと<気道に炎症が起こり狭くなる病気>です。気道とは、鼻や口を通り気管、気管支から肺に到達するまでの空気の通り道のことを言います。特にぜんそくは気管支ぜんそくというくらいですから気管支に起こります。

炎症がおこると気道が狭くなる理由として、以下のものがあります。

  1. 気道の筋肉(平滑筋)が収縮します。
    気道が収縮するため狭くなります。
  2. 気道がむくみ(浮腫)ます。
    気道が腫れることで空気が通りにくくなります。
  3. 気道の分泌物(痰など)が増えます。
    痰などが空気を通りにくくします。
  4. 気道がリモデリング(変形)します。

そのため、後で述べますが、炎症をとる治療がメインになります。

最近では、ぜんそく発作を重症化しないよう、予防することに重きを置くようになってきています。特にアレルギー性鼻炎等のアレルギー疾患合併が、相互に関与するという報告がされています(One airway,one diseaseという考え方)。とりわけダニのアレルギーが気管支喘息に合併していた場合、そちらを治療することでぜんそくの治療薬を減らせるという報告もでています(当院ではできないため、呼吸器内科のある病院に紹介となります)。また、ダニ等のアレルゲン暴露以外にも、喫煙や薬剤(鎮痛剤の一種や心臓のお薬の一種など)、アルコール等の暴露を減らすことが肝要とされています。

次にぜんそくの治療について述べますが、基本のお薬は、ステロイドの吸入薬(®フルタイド®パルミコート®キュバールなど)になります。吸入薬も、自身で吸入する(ドライパウダー:®フルタイドディスカス、®パルミコートなど)ものと、噴霧式(エアゾール:®キュバール、®フルタイドエアゾールなど)のものとがあります。ドライパウダーは、自己の吸引力で吸う(そのため吸引力のある方が使用します)のに対し、噴霧式は吸引力はいらないのですが、噴霧するタイミングに合わせて吸う必要があります。もしステロイドの吸入薬でも、うまく治療できない場合は、気管を拡張するお薬(LABA:長時間作用性β2刺激薬、LAMA:長時間作用性抗コリン薬、LTRA:ロイコトリエン拮抗剤など)を追加したり、吸入するステロイドの量を増やしたりします。最近では、ステロイドとこれらの薬が合わさった薬(®シムビコートや®レルベア、®テリルジーなど)を使用することが多くなっています。これでも、十分な治療効果が得られない場合には、専門医での治療が必要となるため呼吸器内科のある病院に紹介となります。そちらでは、生物学的製剤という強力な治療や小生は経験がないですが気管支熱形成術というより専門的な治療が行われることがあります。繰り返しお話ししますが、ぜんそくの治療は、重症化させないことがとても大切であり、治療をきちんと受けるなど、きちんとした予防が大切です。

次にCOPDについてお話ししたいと思います。当院では、呼吸機能検査が可能です。この呼吸機能検査によりさまざまな病気の診断をすることが可能です。そのうちの一つが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)です。COPDと言えばあまりイメージがわきにくいかもしれませんが、一言でいうと<肺気腫(肺胞が壊れてしまった状態)に慢性気管支炎が合併したもの>です。まず健康な方の肺の組織を理解するためにイメージ像(図1)を示します。肺の中は、肺胞といわれる酸素を取り込むための小さな袋がたくさんあります。しかし、たばこの煙などの有害物質を多く吸入してしまうことで肺が壊れてしまいます(肺気腫)。それに加えて、有害物質が肺や気管支の組織に慢性的な炎症を起こしてしまう(慢性気管支炎)ことで、肺に空気が入りにくくなったり、痰が多くなって気道閉塞を起こしたりします(図2)。それがどんどん進行すると、多くの気道や肺の組織(換気に影響する肺胞や肺血管)にも障害をきたしてしまいます。結果として息切れを起こすことになります。COPDの診断基準ですが、1つめは、長期の喫煙等有害物質の暴露歴があること。もう1つは、気管を広げるお薬を使用しても、呼吸機能検査ではく力が落ちていることです。これらを満たしたときにCOPDと診断して治療を進めていくことになります。加えて最近にわかってきたことですが、COPDには最初にお話しした気管支ぜんそくが20%程度合併(日本では25%との報告があります)するといわれています。以下(図3)に示すように、COPDと気管支喘息ぜんそくは、すこし背景が違うのですが、その両方の特徴を持つものと考えていただければと思います。

COPDの治療は、第一に原因物質(喫煙など)からの暴露を避けることです。それを行ったうえで、投薬治療になります。投薬治療の基本は、喘息のところでもお話ししましたが、気管支拡張剤(LABA:長時間作用性β2刺激薬やLAMA:長時間作用性抗コリン薬)になります。当然喘息に近いような病態の時は、ステロイドの吸入薬を併用することもたびたびあります。加えて、痰が多い時には、喀痰を出すお薬を使用したり、必要に応じて抗生剤治療を行うこともあります。それでも呼吸状態が改善しないときには酸素療法を行うことになります。いずれにしても、早期に治療を行うことで悪くならないようにすることが大切です。

今回、気管支ぜんそくとCOPDという病気についてお話してきましたが、最初にお話ししたように、<胸がゼーゼーいう>といった症状や<歩いていればハアハアと息切れがする>といった症状の方は、当院では心臓も肺も検査が可能ですので、一度ご相談ください。

正常肺胞のイメージ
図1(正常肺胞のイメージ)
COPDの肺胞イメージ
図2(COPDの肺胞イメージ)
ぜんそくとCOPDの比較
図3(ぜんそくとCOPDの比較)

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