高血圧
高血圧
血圧について、お話したいと思います。血圧は、心臓から全身に血液を送るのに必要な圧の事で、当然血圧が低すぎても生きていけませんし、高すぎても後で述べますように動脈硬化を引き起こします。ただし血圧の概念はまだわかってから100年ちょっとです。
歴史を簡単に述べますと、イタリアのRiva-Rocchi先生が1896年上腕型血圧計を発明し、1905年にロシアのKorotkoff先生が聴診法を考案。聴診法とは、我々が子供のころに病院を受診した際に、先生や看護師さんが、血圧計を巻いて、聴診器で動脈の音を聞いて測定する方法です。じつは、この聞いている音をKorotkoff先生にちなんでKorotkoff音といいます。その後、血圧は、高い方が良いものなのか、悪いものか、様々な検討がされてきました。皆様方は、信じられないかもしれませんが、第二次世界大戦前は、血圧が高い方が長く生きられるという考え方もあったそうです。。。
もう一つ雑談になりますが、動物では、人間よりも血圧が高い動物もいます。たとえば、首の長いキリンです。頭が、心臓よりも高い位置にあるため、血圧が高くないと頭に血液がいかないためです。キリンの血圧は200mmHg以上あります。ここから、高血圧について本題に入ります。日本人の3人に1人(約4300万人)は、高血圧ではないかと言われています。そのうち57%(2,450万人)しか治療を受けていないのではないかといわれています。これは、医療従事者として、耳が痛く心苦しいお話なのですが、治療を受けている方でも50%(1,200万人)しか血圧が目標値まで降圧できていないとも言われています。それに加えて、自分の高血圧を知らない方も1400万人もいるとされています。
それでは、高血圧になると、何が問題なのでしょうか?
一言で簡潔に言うと、血圧が高いせいで、動脈壁が厚く硬くなっていくことが問題なのです。理屈は簡単で、血圧が高くなると薄く柔らかい血管ではすぐに破けてしまいます。そうならないように、血管を厚くしたり、固くすることで防いでいるのです。その過程で血管の筋肉が繊維に置き換わって、血管の中が細くなったり、炎症を起きこしたりします。結果として、心臓では、狭心症や心筋梗塞、脳の血管では脳梗塞等の原因となります。当院では、そうならないようにするために、きちんとした高血圧の治療を心がけるようにしています。
病院に来た時の血圧と家庭血圧で値が異なります。また、当クリニックでも<家では高くないんやけど、病院にきたら、緊張して高くなるんです>といった、白衣高血圧という方もいらっしゃいます。白衣高血圧も実は、高血圧に移行することが多いため注意が必要とされています。
降圧目標は高血圧の治療は、1)まず原因調査、2)減塩等の生活習慣の見直し、3)降圧剤の順になります。
1)原因調査については、何らかの原因のある高血圧が10%程度の方ですが認めます。(多くの場合は、原因不明で、本態性高血圧といいます)何らかの原因とは、副腎等のホルモンの異常、薬剤性等ありますが、最近では、睡眠時無呼吸が原因のこともあり、それらを治療することで高血圧が改善することがあります。これらの検査は、当院でも可能ですのでご相談いただけましたらと思います。
生活習慣病の見直しについてですが以下のようなものがあります。
特に減塩は、かなりの降圧効果がありますので、麺類の汁を飲まないようにすることから等、簡単なことから実践していただくことが大切です。
3)降圧剤についてですが、最近は、非常に多くの種類があります。代表的なものとして、以下の3種類を用いて治療することが多いです。
最近ではこれらを合剤として販売されているものもあります。
また、加えて®エンレストという心不全治療薬も兼ねた、降圧剤等も出てきています。ただし、疾患によっては他の薬剤を第一選択とすることもあります。
それぞれ、メリットデメリットがあり、きちんと説明をうけて治療を行うことが大切です。
最後に、高血圧の治療は、今まで述べてきましたように、きちんと治療することで、動脈硬化疾患の先行投資になります。当院では、循環器専門医が対応いたしますので、降圧全般治療には精通しているため、検診で指摘を初めて受けた方や今までの降圧では不十分である方は勿論、若年の方や妊娠希望の方等にも対応できます。加えて食事療法や疑問に思うことがありましたら、いつでもご気楽に、ご相談いただけましたらと思います。
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