日本で初めての歴史に残る人物での糖尿病患者は、平安時代に京都で栄華を来した藤原道長ではないかと言われています。道長は、多忙で、運動不足となり、宴会に明け暮れた生活をしておられたそうです。中年になると口の渇きをたびたび訴えるようになり、水をほしがり力が入らなくなったり、浮腫んだり、眼が見えにくくなっていたそうです。これらの症状が糖尿病の症状と一致するため、糖尿病を発症していたのではないかと考えられています。では<糖尿病>とは、どういった原因でなるのでしょうか?一言でいうと膵臓から作られるインスリンの働きが十分でないため、血糖値が高くなる病気です。それではインスリンの働きとは何なのでしょうか?インスリンとは、生命維持するうえで非常に大切なホルモンで、血液中の糖分を細胞内に取りこませる役割をし、その結果血糖値を下げます。つまりインスリンが欠乏したり効きにくかったりすると全身臓器の細胞内に糖分がいかなくなりたくさんの障害が出ます。加えて血液中の血糖値が慢性的に高い値を持続するため、全身の血管を痛めてしまうことになります。とくに血管が集中している臓器(目や腎臓等)が影響を受けやすく、三大合併症といわれる糖尿病網膜症、糖尿病性腎症や、神経にも血液が必要なため糖尿病神経障害も引き起こします。また、より大きな血管が動脈硬化すると、心臓の病気である狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などを引き起こすこともあります。また、筋力の低下やこむら返り、便秘や下痢といった排便障害の原因にもなることがあります。また高コレステロールや高中性脂肪、高血圧といった要素も、すべて(2型)糖尿病と関連するといわれています。現在糖尿病の分類は、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他特定の機序・疾患によるものの4つのタイプに分類されていますが、日本人で圧倒的に多く、生活習慣病の一つとされているのが2型糖尿病です。
糖尿病